水にまつわる奇譚集
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掌編・短編集です。 水にまつわる奇妙なお話を五編あつめました。 ひんやりとした怪奇幻想をお楽しみください。 【書き出し紹介】 「夏の水魔」 どこかで、水のにおいがした。 雨、降るのかな。あんなに晴れてたのに。 だらしなく寝そべっていたフローリングの床から、うんしょ、と起き上がる。見ると、窓はちゃんと閉まっている。外の空気は入ってこないはずだ。ベランダの隙間から見える空も、青く晴れ渡っている。…… 「水葬都市」 その街は、白と黒と水とで出来ていた。 小さな駅の改札口を出た広場からして、白い石が敷き詰められている。同じ列車で降りた黒い服を着た人々が、立ち止まる私に背を向け、影のように静かに歩いてゆく。…… 「青い小さな魚たち」 一仕事終えたら、のどがひどく乾いていることに気付いた。 全く、疲れた。友達と三人で女子会旅行、青森で二泊三日。楽しんで帰ってきた日曜の午後、家に一大事が発生していた。とっさに処理したのはいいが、後始末が大変そうだ。この狭苦しいマンションにずっとアレを置いておくわけにはいかないだろうが、さりとてどこに持ってゆけばいいのやら。…… 「すいれんさん」 これは、病床にあった母が、眠る間際のお伽噺のように語ってくれた話。 ――こうして横になっていると、昔のことばかり思い浮かんで。あれは何だったんだろう、と今でも不思議に思うこともあるのよねえ。 そう、あれは、あなたが生まれて間もない頃だったから、もう三十……三十年以上前になるのね(母は、私の年齢をとっさに思い出せないようだった)。…… 「紫陽花の道」 私の勤め先の事務所は、最寄り駅から歩いて約二十分。街中ではあるけれど、やや不便な場所にある。私鉄の、普通電車しか停まらない駅で降り、駅前の短い商店街を通り過ぎたら、あとは事務所までいくつかのルートがある。 (中略)六月は、「紫陽花の道」と心中ひそかに名付けている道が含まれるルートを取ることが圧倒的に多い。…… ☆続きはぜひ本誌にて。 ☆☆クリックポスト(185円)にて発送します。